2017年 01月 14日

ならまちの古本屋


ならまちの古本屋          


奈良町は
ところどころ崩壊気味の
迷宮である
もともとは
世界遺産にもなっている
元興寺の敷地だったらしい
縦 約五〇〇メートル
横 約三〇〇メートル
迷うにはちょうど良い狭さといえる
いりくんだ細い露地には
古い
 家屋
 料理屋
 和菓子屋
 博物館
 雑貨屋
 庚申堂
 銭湯
 漢方薬局
 見せ物小屋
 古道具屋
 喫茶店
 蕎麦屋
 造り酒屋 等々
これらが 
奈良の宗教文化というスープに浸され
それぞれが
ごった煮の味わいである
さて
そんな奈良町の中心より少し東
注意していないと素通りしてしまいそうな
目立たない古本屋がある
外観も内装も
元の民家をそのまま使っているので
靴を脱ぎ
畳の部屋で本を眺める
下宿している友人の部屋に来たみたいだ という人もいる
初めて行ったとき
ぼくは つげ義春の漫画の世界に入り込んだ気がした
うらぶれつつも不思議とあたたかい空間
店主は七〇年代前半に学生時代を送り
世界中を旅した人だ
ヒッピー文化を
今に受け継いだ希有な人と言ったらよいだろうか
一番奥の部屋に座り
なんとなく話し始める
音楽がいつも流れている
古い
 ロック
 フォーク
 民族音楽 等々
明るいうちから
お酒もふるまわれる
なんといっても
この店は「酒仙堂」というぐらいなので
 おいしい日本酒もらったんですよ 飲みますか
 そりゃ どうも
午後二時に飲み始め
ふと気づくと
日が暮れかけていることも
よくあったりする
 じゃ そろそろ帰ります
 そうですか と言葉を交わし
少し浮遊しつつ
ぼくは店を出る
最近 
 この店で本を買っていないなあ と思う
でも 
また行きたくなるのは
小さなこの店が
さえぎるもののない
本当の自由を
なんとなく
実現している気がするからだ






『朝のはじまり』より



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# by kayu_hiko | 2017-01-14 13:24 | 作品 | Comments(0)
2017年 01月 09日

「 独り占め 」




独り占め             



家に帰ると
九歳の息子が
とうちゃん四ツ葉のクローバーみつけたで
と言ってきた
あわてて見に行くと
水たまりに
四ツ葉のクローバーが
挿してあった
しかも 五つもだ
驚いて 
どこで見つけたんや
と訊くと
自慢げに
庭の
とあるクローバー群生地へ
案内してくれた
私も四ツ葉を必死に探したが 
一つも見つからない
残念だったので
幸せを独り占めしたらあかんで
と言うと
息子は
うん
と返事をした









『フタを開ける』より









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# by kayu_hiko | 2017-01-09 08:14 | 詩集 『 フタを開ける 』 | Comments(0)
2017年 01月 08日

そぼく



そぼく



いつからか
素朴に
暮らしていきたいと
思うようになりました


飾らず
あるがままを
大切にしたいと
思うようになりました


そうすると

雲を眺めるようになりました

猫がなつくようになりました

静けさを好むようになりました

鳥の声は森に響くことを知りました

けもの道が分かるようになりました

野草の名前を覚えるようになりました

朝の光は祝福であることを知りました

人から道を尋ねられるようになりました

月の満ち欠けを気にするようになりました

遅さの価値を知る人たちに出会いました

一日いちにちが違うことを知りました

ゆっくり生きていくようになりました

鹿の言葉が分かるようになりました

雨音が優しいことを知りました

損得では動かなくなりました

わたしはわたしになりました







詩集『 言の森 』より














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# by kayu_hiko | 2017-01-08 15:17 | 作品 | Comments(2)
2017年 01月 05日

のほほんとほん 3かいめ と 新詩集『光ったり 眠ったりするものたち』の展示


奈良・大和郡山市の本屋「とほん」で、
新詩集『 光ったり 眠ったりするものたち 』の出版にあわせて、
西尾勝彦の詩と、
装丁画と挿絵を担当した安福望の原画イラストの展示をします。
ぜひ、お越しください。

日程 2月24日〜3月22日 11時から17時 (定休日 木曜、祝日)
場所 とほん (大和郡山市柳4−28)

恒例(?)のトークイベント「のほほんとほん 3かいめ」も開催します。
とほん店主と西尾が本の話などをして、後半は詩の朗読をする予定です。

日時 2月25日(土)午後6時から(1時間ほどです)
場所 とほん

参加費 1200円(豆パン屋アポロさんのパン付き)
    差し入れ、飲料持ち込み歓迎です
要予約 メール tohontohon☆gmail.com (☆=@)
    電話 080−8344−7676


《紹介文》
西尾勝彦(にしお かつひこ)
詩集『フタを開ける』(書肆山田)、『朝のはじまり』、『言の森』、『耳の人』(ブックロア)
非実用本『のほほんのほん』、『さとりの手帖』(私家版)、旅人と詩人の雑誌『八月の水』編集人
フリーペーパー「粥彦」発行人

安福望(やすふく のぞみ)
短歌が好きで一日一枚、短歌の絵を描くイラストレーター
短歌と絵の本『食器と食パンとペン』が発売中
柳本々々さんとの共著『きょうごめん行けないんだ』がそのうちでます
ツイッター@syokupantopen
ブログ http://syokupantopen.jugem.jp/







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# by kayu_hiko | 2017-01-05 09:00 | 日々ノ呟キ | Comments(0)
2017年 01月 05日

栞日 トークイベント と 詩とイラストの展示『 光ったり 眠ったりするものたち 』


長野・松本市のブックカフェ「栞日」で、
私の新詩集『 光ったり 眠ったりするものたち 』の出版にあわせて、
詩と、装丁画と挿絵を担当した安福望の原画イラストの展示をします。
さらに、出版社「ブックロア」のフェアも行われます。
ぜひ、お越しください。

日程 2月25日〜3月12日 8:00-18:00 (定休日 水曜日+不定休)
場所 栞日 (長野県松本市深志3-7-8)

トークと朗読のイベントを開催します。
ブックロアの中島、栞日店主菊地、私 西尾の3名が本作りの話などをします。
すこし休憩を挟んで後半は、詩の朗読をします。

日時 3月11日(土) 開場 17:30 開演 18:00から(1時間30分ほどです)
場所 栞日
参加費 1000円(+ワンドリンクオーダーをお願いします)
要予約  mail info@sioribi.jp
電話 0263−50−5967


《紹介文》
西尾勝彦(にしお かつひこ)
詩集『フタを開ける』(書肆山田)、『朝のはじまり』、『言の森』、『耳の人』(ブックロア)
旅人と詩人の雑誌『八月の水』編集人、フリーペーパー「粥彦」発行人

安福望(やすふく のぞみ)
短歌が好きで一日一枚、短歌の絵を描くイラストレーター
短歌と絵の本『食器と食パンとペン』が発売中
柳本々々さんとの共著『きょうごめん行けないんだ』がそのうちでます
ツイッター@syokupantopen
ブログ http://syokupantopen.jugem.jp/








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# by kayu_hiko | 2017-01-05 09:00 | 日々ノ呟キ | Comments(0)